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【感想】逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!

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僕の周囲では賛否両論だったのですが、個人的にはめちゃくちゃおもしろかったです。

2016年のドラマシリーズは正直そこまではハマれなかったのですが、今作は文句なしにおもしろかった。共働きの夫婦、一人で生きることを選ぶ人たち、同性愛者、そしてそれらの上の親世代の価値観のアップデートなど、本当に描くべきものから逃げずに描いていて凄かった。

ただ「説教臭い」「教科書的過ぎる」という意見にはわかる部分もあります。とはいえ自分がそう思わなかったのは、やはりこの作品が持っている懸念を普段から共有できていたからだと思います。結婚はしたことがないので実際はわからないけど料理は作るし家事もする。女性に限らず人はできるだけ自由に休暇を取得でき、またそれを補うのも日常的にやれる方にしたほうが良い、と思っている。必要以上の男らしさや責任感からは、男性も解放されたほうが良い。家族がいても孤独は常に付きまとう。頷ける部分をここまで拾っている映像作品ははじめてでした。

個人的に一番ぐっと来たのは、平匡が仕事と家事に追われてストレスを爆発させる場面。あれ自分も近いことを先月やらかしてブチ切れたので爆笑しながら観ました。時間も体力も有限であるからこそ妥協することも大切なのだと痛感させられます。

そしてコロナ以降を描いていたのもよかったです。海野つなみ先生のTwitterによるとどうもドラマオリジナルとのこと。野木亜紀子の作家性が爆発している気がしました。

コロナ以降の描写はあの頃を追体験しつつ、赤子がいる家庭だからこそリスクを極限まで削るための別居・疎開まで選択しているのはマジリスペクトでした。そして最後の帰宅の場面、あれを「新型コロナ収束後の世界」と見る人もいたけど、個人的には自己負担のPCR検査が可能になった「新型コロナとともに生きる世界」に見えて、それはそれでぐっと来ました。そう捉えるとあれはリスク回避の妥協なんですよね。でもそれでいいと思います。

145分で妊娠、出産、コロナに加えて、独身女性の闘病、同性愛、さらには親世代まで描いていて、しかもそれが抜群におもしろくて、野木亜紀子半端ないというか、この人映画のほうが向いているのでは……という思いを新たにしました。

TBSのドラマシリーズのスペシャル編と言うと「IWGP」「ケイゾク」「木更津キャッツ(映画)」「SPEC」などを思い出しますが、やっぱりそれらと比較しても抜群にクォリティが高いと思います。もちろん海野つなみ先生の原作の力も大きいのが間違いないですが、野木亜紀子の構成力が凄かったと思います。楽しかったです!