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【感想】8/25 Awich「Partition Live」

 

LIVEWIREでAwichのライブ配信を観た。結論から書くが、ライブ配信としてはもちろん、僕が観てきたライブの中でもオールタイムベスト級と言えるくらい良かった。

バンドは丈青(Piano)、秋田ゴールドマン(B)、みどりん(Dr) 、社長(Manipulator)、吉田サトシ (G)というほぼSOIL & "PIMP" SESSIONS。ゲストにはMoney Horse、PETZ、JNKMN、kZm、MARZY、BIM、JP THE NAVY、DOGMAが登場。鎮座DOPENESSも画面の中で登場した。

 

開場時間から画面にはトイレで右往左往する、おそらくラジコンであろう何かに取り付けられたカメラからの映像が流れていたのだが、それがわりと狂気。開演時間を過ぎ、個室トイレからAwichが登場。大胆なスリッドが入ったボンデージファッション(と呼ぶ気がするけど疎いので間違ってたらごめん)に身を包み、腰をくねらせながらクルーのカメラに向かって歌う。まるでMVみたいだ。ただ、さすがに不慣れなせいか緊張が伺える。トイレを出てバーまで移動し、2曲目の「洗脳」ではDOGMAが登場。鎮座DOPENESSのパートは録音したものだけど、ブラウン管のテレビに登場した。

場の空気が変わったのがステージに移動した3曲目から。丈青の鍵盤が上から映し出されて、ジャズな雰囲気が全体を包み込んだ。「Awake」の

なぜ人は奪い、壊し、争い、
忘れてる、全ては one
分けることができないこと
分かることで、分かち合う

といったシリアスな言葉が一気にトーンを変える。と思っていたら海パン一丁でサングラスを付けトロピカルなドリンクを持つMC兼お客さん役のMARZYが登場。シリアスなのかおちゃらけな雰囲気なのかよくわからん。だけどこの緩急がAwichに限らずヒップホップの本質なのかもしれない。視聴者からの声を拾う場面でMARZYがスマホを落として慌てる姿がウケた。

「WHOUARE」からはほぼ本調子。MONYPETZJNKMNの面々も登場。それにしても強い。3人のMCもそうだけど、やはりバンドの演奏が格段に良い。みどりんがドンっと音を立てるとヒップホップとロック(ジャズ?)の垣根が崩れ去る。「NEBUTA」ではkZm、「Bloodshot」ではJP THE NAVYも登場したが、みんな静かに登場し曲が終わるとあっさり帰っていくので、本当にこれはヒップホップのライブなのか?と思いながら観てた。ビジネスライクとか他人行儀な感じではなくむしろプロフェッショナルな印象。フックアップの雰囲気が皆無なのがなんかかっこよかった。

中盤はEGO-WRAPPIN'の「色彩のブルース」をサンプリングした「紙飛行機」。そのせいかバンドとの相性は抜群。このあたりからAwichのボーカルの素晴らしさがわかるようになってきた。そして圧巻だったのは「Ashes」。曲が始まる前に彼女はこう話した。

WWWからお届けしています。私のことを初めて見る人もいると思いますが、Awichと申します。ここまで来るのにこんな豪華なセットでこんなライブができるまでに、実はわたしはいろんなことがあったんですけど、この次に歌おうと思っている曲は、私にとってとても大事な人を失った時の話です。その人がなくなった時に私と娘はその人の遺灰を持って海に散骨しに行きました。それが彼の願いだったから。その時のことを曲にしたのがこのAshesという曲です。今日はその曲をみんなに聴いてもらいたいと思います

そう話し、彼女は「Asehes」を力強く歌い上げた。画面には会場のスクリーン上に映し出されたMVの映像が映し出されていた。 

途中「ただ観たい」という理由で客演に来ていたkZmとBIMの「Dream Chaser」をAwichは客席から観て、途中からは参加するというサプライズも。終盤は圧巻の一言。以下がセットリスト。

 

  1. Shook Shook
  2. 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS
  3. Awake
  4. MONYPETZJNKMN - WHOUARE feat.Awich
  5. NEBUTA feat. kZm
  6. Bloodshot feat. JP THE NAVY
  7. Open It Up
  8. 紙飛行機
  9. Ashes
  10. Revenge
  11. First Light
  12. kZm - Dream Chaser feat. BIM, Awich
  13. WHORU?
  14. Love Me Up
  15. Bad Bad

 

自分はKOHHを聴くようになってから、ラップとは違うヒップホップを少しずつ聴くようになってはいたけど、それでもまだ正直それほどは聴いていない。昔から純粋なヒップホップではなくRIP SLYMEm-floKREVAのようのようなポップミュージック寄りの人たちのラップを聴いてきたからかもしれない。あとやはり全体的にサウンドが弱いこと、つまり生演奏の比重の低さもある、とは思う。ただこうしてSOILの面々とバンドを組んでAwichの音楽を構築すると、むしろヒップホップの前衛性が際立ち、正直めっちゃスリリングだった。すごすぎて俺の音楽生活これからどうしよう……と悩むほど。逆に言うとここまでやらないと理解できないくらいボンクラなのか俺は……と痛感したのだが、でもここまでやってもらって超最高でした。

あと映像を手掛けた権四郎のクルーもすばらしかった。ライブ配信とはただライブの代わりとして撮影したものを届けるだけでは駄目で、リアルタイムの映像作品としてライブを再構築しなければいけないのだと認識しました。圧倒的な映像と圧倒的な演奏に支えられ、それを乗りこなすAwich。ほんと超かっこいい。「こんなの無料で観れるなんて!見なかった人は損してる」とは言わないけど、本当に観てよかった。入信しました。