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【感想】宮藤官九郎、生田斗真、水田伸生「JOKE~2022パニック配信!」

 

ネタバレが過ぎるドラマなのでざっくりとした感想を。

www.nhk.jp

ポストコロナの近未来。漫才コンビ「俺んち」のボケ担当・沢井(生田斗真)は不祥事でTV番組を降板。相方の坂根(柄本時生)とは絶縁し自宅に引きこもっていた。AIロボットに頼めば食事の注文から掃除までやってくれて、その上AIが沢井のボケを学習し、大喜利のネット番組では沢井の相方を務めるほどに成長していた。そんなある日、大喜利の生配信中に謎の脅迫が届き、沢井は想像もつかない異常な事態に巻き込まれていく。 

 

今まで観た国内のドラマの中でインターネット関連の用語がここまで使われたものはなかった(と思う)。ウーバーイーツ→イーバーフード、アマゾンと楽天→アマテン、アレクサ→マイルズ、オーケーグーグル→オーケー大喜利、など、配慮なのか設定上のためなのか知らんけど、すぐに元ネタがわかるさじ加減は最高。とはいえウーバーイーツとかAIとかYouTuberについて今の視聴者みんながついていけるかは微妙。まあ夜22時放送だったので、あまり気にしなかったのかもしれないし、「いだてん」の反動でここまで昨今に流行に振り切ったネタに突っ走ったのかも。

YouTuber、いわゆる自宅から配信することを生業に人の生活としては、普通にうらやましかった。ランニングマシンに、音声で操作が可能なAIアシスタント、それにイーバーフードをすぐに呼べる立地。加えて家族が暮らす住居とは別の仕事部屋という立ち位置。普通にうらやましい(2度目)。

ただそんな主人公・沢井が遭遇する出来事は本当に不可解。もちろんそこには謎があって最終的に解き明かされるわけだけど、なんか怖かった。もちろんジャンル的にはホラーだから怖くて当たり前なのだけど、人間とかテクノロジー、もしくは社会について恐怖を感じるようなものではなくメタ的な怖さがあった。

つまりこのドラマを観ていると、謎があって謎解きがあるのだけど、謎解きが終わったにもかかわらず物語が進行し、笑えることや少し泣けることが起こる。それはまあクドカンのドラマを少しでも観たことがある人ならわかると思うが、ジャンル的に定まっていてもどこかに笑いや泣きが入ってくるのがクドカンの話の特徴で、それが今回のホラー作品であろうと例外ではなかった。生田斗真は「いだてん」でも天狗倶楽部こと三島弥彦役で爪痕を残していたものの、今回はむしろ阿部サダヲを彷彿させるボヤきっぷりでまあ観てて楽しいこと!そしてネタバレになるで詳しくは書かないが、ちょっとうるっとくるような良い場面も迎える。実にクドカンっぽい。

ところが今回ばかりはそれすらも破壊してしまうのだ。それこそネタバレになるので詳細は控えるけど、まあびっくりする。「こんなこと許されるの?」と思いつつ「でも、これ以上おもしろい終わり方もないかも」という感情がずーっとせめぎ合ってる。 

45分の短編、おまけのほぼ全編一人芝居という制約からこその到達点であるし、むしろ最後の破壊はそれまでの内容に説得力を持たせたからこその衝撃ではあるが、やはりクドカン、ハンパない。あの大傑作「いだてん」のあとにとんでもないものを作ったなー。そんなことを思いました。