【プレイリスト】最近のお気に入り(202008-10)
10月7日水曜日、五反田の大衆居酒屋で生ビールを飲みながら私は会社の同僚である石原にこう伝えた。
「さとみさん、俺、次の転職先決まったわ」
彼女は少しだけ目を伏せたあと、微笑みながら「おめでとうございます」と返した。そして「でも、うめもとさんがいなくなったら寂しくなりますね」と続けた。
私が勤めている会社は比較的年齢層が高いため、石原と私は同年代で肩肘張らずに話し合える良き相談相手だった。私はビールを飲み干しながら「いや、そんなこと言ってくれるのはさとみさんくらいだよ」と若干の寂しさを誤魔化しながら笑った。そこからは仕事の話は忘れて、最近見たヴァイオレット・エヴァーガーデンの映画の素晴らしさ(なんと彼女も偶然見ていた)、最近のおすすめの音楽について話し合った。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、気付けば終電まであと1時間になっていた。私はその日は疲れていたのか数杯程度のお酒を飲んだだけで、酔っ払ってしまっていた。居酒屋を出て、繁華街を抜けて駅に向かうことにするも、フラフラな私を見て彼女はこう言った。
「大丈夫ですか?」
「う、うん、大丈夫大丈夫。ごめんね、思ったよりも酔っ払っちゃった」
「もう、フラフラじゃないですか。ちゃんと帰れますか?どこかで休憩します?」
“どこかで休憩します?”酔っ払っていてもはっきりと私の脳内にその言葉が響き渡った。どこかってつまりどこですか?ここは五反田で駅までもうあと少しだけど、丁度いいどこかは一体どこにあるんですか?ものすごい勢いで頭をぐるぐる回転させるも、私はこう返した。
「いや、ほんと大丈夫よ。明日も平日で仕事だからね。あんまり遅くなるとご家族にも心配かけるよ。ピューウ」
気付けば私は松陰寺太勇になっていた。ただ一つ違うのは、もう時は戻せないということだ。彼女はまた少し微笑みながら「わかりました。じゃあまた明日会社で、気をつけて帰ってくださいね。」と私に言った。五反田駅で彼女と別れ、いつの間にか私は渋谷の喫煙所で煙草をふかしていた。酔いはとっくに冷めて、頭はクリアに冴え切っていた。
石原さとみさん結婚おめでとうございます。
最近のお気に入り(202008-10)
- Kamal.「blue」
- Lontalius「Make My Dreams Come True」
- Fiji Blue「Butterflies」
- Peach Tree Rascals「Mariposa」
- Busty and the Bass「Figure It Out」
- スティーヴィー・ワンダー「Isn't She Lovely」
- ukka「恋、いちばんめ」
- 日向坂46「窓を開けなくても」
- 米津玄師「感電」
- BUMP OF CHICKEN「アカシア」
- Indigo la End「通り恋」
- ラブリーサマーちゃん「豆台風」
- beabadoobee「Care」
- Tobias Wilden「The Writer Without a Home」
- 尾島由郎「Biodome」
- Oh Wonder「Oceansize」
- BBHF「とけない魔法」
- The Japanese House「Something Has to Change」
- Gus Dapperton「Medicine」
- brakence「dropout (w/ blackbear)」
- Kelly Lee Owens「Melt!」
- 早見沙織「瀬戸際」
- 入江陽「週末 (旅するついでに、髪を切る ver.)[202009]」
- 蓮沼執太フルフィル「windandwindows」